ちばてつや 原作作品特集
今なお色あせない普及の名作の数々
image 『あしたのジョー』『おれは鉄兵』、そして『国松さまのお通りだい』の原作である「ハリスの旋風(かぜ)」。いずれもちばてつや氏が描いた漫画だ。
ちばてつや氏は1950年、友人の作る漫画同人誌「漫画クラブ」への参加から漫画家としての活動を始めた。1956年には単行本作品でプロデビューを果たし、1958年『ママのバイオリン』で雑誌連載を始めている。1961年には『ちかいの魔球』で週刊少年誌にデビュー。以後、数々の作品を発表し続け、代表作には上記の作品以外にも『1・2・3と4・5・ロク』『紫電改のタカ』『あした天気になあれ』『のたり松太郎』など数多く、その作風もスポ根モノから少女マンガまで作品の幅は広い。
1962年には『1・2・3と4・5・ロク』で第3回講談社児童まんが賞を受賞し、『のたり松太郎』では1977年の第6回日本漫画家協会特別賞、翌78年の第23回小学館まんが賞などを受賞。さらに2002年に紫綬褒章を受章している。デビュー以来、半世紀以上経って、今なお活躍し続ける日本が誇る漫画家である。
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国松、ジョー、鉄兵…… 時代を駆け抜けた傷だらけの少年達
image「ハリスの旋風」は1965年から67年にかけて講談社の「週刊少年マガジン」で連載された。「あしたのジョー」は、その「ハリスの旋風」終了後、1967年から73年まで、さらに「おれは鉄兵」は1973年から80年まで、同じく「週刊少年マガジン」に連載されている。つまり、この3作品はほぼ連続して連載されたのだ。10年以上もの期間が経過しているが掲載誌が同じこともあって、この三作品には幾つかの要素が共通する。その一つが、何と言っても魅力的な主人公のキャラクターにある。
あまりの暴れぶりに地元の中学を追い出されてしまった石田国松。転校先の東京のハリス学園でも傍若無人の暴れん坊ぶりを発揮するが、その類い稀なる運動神経で様々な運動部に引っ張りだこ。生来のお調子者でどの部に行ってもトラブルを起こすのだが、最後にはその部を勝利に導いていく。さらに義理人情に篤く弱気を助け強きを挫くというその態度から、学園の人気者となっていくのだ。


image続く「あしたのジョー」では国松の無邪気さは姿を潜め、主人公・矢吹丈の境遇も一転、孤児院育ちの天涯孤独の身である。しかも、その境遇もあって犯罪も平気で行い鑑別所にまで送られてしまうのだ。だが、そのキャラクターにはどこか国松に近いところがある。基本的には物事をあまり深く考えず、すぐに調子にのる。心根は優しく周囲の人間に対しても時に不器用な気遣いを見せる。ケンカっ早いが、決して悪人ではないのだ。国松に愛する家族がいなかったら、あるいは丈のような青年になっていたかもしれない。


imageそして「おれは鉄兵」では「ジョー」の哀愁は消える。埋蔵金探しに明け暮れる父につれられ、ろくに学校にも通ったことのない野生児・上杉鉄兵。大酒飲みの博打好きという、父親譲りのその性根はとても中学二年生とは思えない破天荒で奔放だ。だが剣道部の先輩達にしごかれる中等部の面々の中でリーダーシップを発揮するなど、面倒見の良さも見せる。むしろ物語の展開や舞台設定ともあわせて、国松に戻ったといえるかもしれない。
さらに三人とも勝負事には異常なまでの執念を見せ、時に勝つためには手段を選ばないということも同じだ。その執念は少年漫画の主人公としては異常なほどだ。だが、その泥臭いまでの執念は純粋に勝ちたいという想いからこそ生まれるもので、むしろ恵まれたエリートでは持ち得ないものなのかもしれない。いずれも常識には縛られない破天荒なキャラクターながら、観るものを惹き付けてやまない。
国松さまのお通りだい
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